3月1日 シドニー

今日のYoutubeに付した文章で、分節とすべきところを文節としていました。私にとっては非常に大きな間違いで、慌てて訂正しました。(3月14日20時25分)



誘ってみたところ、ちょうどスケジュールが空いていたというので、シドニーで名古屋のドケ君と落ち合うことになっていた。
彼と一緒に海外旅行をするのは、ニューヨーク、エジプトに次いでこれで3度目だ。私にとってはこれ以上ない旅仲間だ。打てば必ず響くような反応が返ってくるし、私はほとんどしない下調べも、必要に応じてやってきてくれる。何より、行動を彼に任せっきりにすることができる。私ならつい面倒になってタクシーを利用するか、歩いていくか、あるいは行くのを取りやめにするようなところも、彼はちゃんと公共交通を使って私を引っ張っていってくれる。
オペラハウスの構造を担当したオヴ・アロプ(Ove Arup)事務所がいかに苦労と工夫を重ねたかというようなことも調べてきていて、彼がオヴアロプという名を出す度に、疲れた私の頭の中でオーヴァル(oval)という言葉に横すべりし、だから卵の殻のような建物になったのか、などといった口から出まかせの会話を楽しむことができるのも彼が相手ならではのことだ。

金井愛明牧師の二女のミカさんがご家族でシドニーに移住されていて、お母さんからことづかりものがあったので、連絡を取り、一人でお宅に伺った。一昨年のクリスマスに日本に帰郷されたときにお目にかかっていた。三人の男の子がいて、三人ともチェロを習っている。将来はチェロ三兄弟と騒がれるのではないかと思うほどの腕前だ。土曜日とあって、一番年下の男の子だけが在宅で、チェロの他にもピアノ、ギター、ラグビーの練習などに明け暮れているそうだ。ミカさんの弟さん、つまり彼らの叔父さんにあたる愛治牧師からプレゼントされた空気式のファイティング・バッグを、「ストレスがたまるから」などとナマイキなことをいいながら蹴り倒しているのだという。





ご主人の大城さんは沖縄の今帰仁(なきじん)のご出身で、歯科技工士をなさっている。





ミカさん宅の裏庭。ここでみんなでゴルフなどをすることもあるという。左に見える丸いものはトランポリン。





オペラハウスができるまではこのハーバー・ブリッジがシドニー最大の観光資源だった。今も世界に名だたる名橋である。





同。





港のそばにある美術館で草間弥生展が開かれていた。相当に大規模な展覧会らしく、この旗がいたるところに掲げられていた。しかも入場無料。
世界で評価されてから日本で認められる芸術家は少なくないが、草間弥生はその代表的な作家のひとりといっていいだろう。彼女がまだ日本で活動していた頃は、ほとんどスキャンダラスな面ばかりが強調されていたような気がする。とはいえ私だってそちらのクチの方だった。
小野洋子も、草間弥生ほどではないが、そういった一人だろう。ジョン・レノンと結婚してから彼女のことを知った日本人の方が多いのではないか。彼女は日本にいるときかられっきとしたコンセプチュアル・アーティストだった。





かつての港湾荷役用の施設が、ほとんど手を入れられることなくそのままホテルやレストランとして使われている。





両側に見えるのは、エスカレータのような木製の荷揚げ機械。実に魅力的で贅沢な空間だ。
日本だと、こういう施設は、まずまわりの都市空間からすっぱりと切り取られ、これ見よがしに仰々しく飾り立てられてしまうことが多く、つまり特別化され過ぎてしまうものだが、この施設にはそういった閾というものをまったく感じなかった。まわりの都市空間とごく自然に繋がっていた。
ドケ君の知り合いのパラモデルという二人組芸術家ユニットが、このそばのギャラリーで企画展に招待されていて、そのうちのナカノ君がこの日にシドニーに来ることになっていた。




夜、そのナカノ君も合流し、埠頭のシーフード・レストランでお食事。
上の大皿はこれでも二人前。これが届くと、まわりの人たちから拍手が起こった。
ドケ君はナカノ君に、私がとてもコワイ人間だと大袈裟に伝えていたらしく、少々びびっていた。東大阪の石切というところに住んでいるというので、あんな辺鄙なところは本当は大阪ではない、大阪といわせてやっているだけだとオドかしてやった。ドケ君によれば、相当に期待の持てる若者たちであるとのこと。招来、仕返しをされそうだ。




今日のYoutube
The Alan Parsons Project  「La Sagrada Familia」

前回のエントリーで取り上げるべきであったかもしれない。全体がモノリシックに繋がっているかのごときガウディの建築に較べると、アラン・パーソンズのこの音楽は、小刻みな分節が続くので、はっきり言ってミスマッチという印象がとても強い。だがその小刻みな分節が何とも小気味がいい。心地がいい。