南半球


土砂降りの大阪を発ち、20時間ほどでこの地に着きました。直通便の席が取れずに余計な迂回(香港経由)を強いられ、こんなに時間がかかりました。5,6時間で来られるのだろうと思っていたのですが、直通便でも12時間はかかるそうです。





こんなヘンテコな樹影がやたらと目につきます。都心でも緑の濃さは凄く、辛うじて南九州がそれに近いかなと感じました。
この国には有毒生物(キノコなどの植物はどうか知りませんが)が一種類もいないそうです。蛇も一匹もいない国。そんな国があるとは知りませんでした。だからなのでしょう、入国審査、特に生物検疫のチェックの厳重さに驚きました。





なんとここは私の国だったのです。到着して2時間ほど休憩し、街に出かけた途端、目に飛び込んできました。
数十年暮らしてきて、大阪の街では一度も見かけたことない言葉が私を待っていました。一昨年、パリでも同じような経験をしました。どうしてこんなことばかり起こるのか、実に不思議です。そういえば、アラゴルンの出てくる映画が撮影された国でもありました。





10年ちょっと前、妹がほとんど出奔するようにしてこの国に来てさんざん苦労した挙げ句、ようやく何とか生活も安定し、ぜひ一度来て欲しいと言われていたのでその確認にやって来ました。創作和食びあんとありますが、これは看板に偽りありと妹は自ら白状していました。当初はディナーもやっていて看板通りだったらしいのですが、そういうものを受け入れる素地がこの国にはまだ育っていないらしく、日本から単身で来ている駐在員たちなどからは惜しまれながらも、いまは単純なメニューのランチだけに徹し、やっと経営が軌道に乗ったそうです。





オークランドで一番の高層のビルの向かいにこの店はあります。




1日に300人ほど(そのうちの6割がテイクアウト)が行列を作るらしいです。週5日、毎日同じものを食べに来る人もいるということです。私も数少ない海外旅行の経験で、どうして彼らは毎日こんな同じものばかり食べ続けられるのかと不思議に思ったことが何度もあります。中国料理はいわずもがな、日本料理、韓国料理、タイ料理など、アジアの国々の食はどれも種類が豊富で、何より、何を食べてもそこには美味しくしようという意志が働いていると感じられると思うのですが、そういうものが感じられないような国々も多くあったと確かに私は思います。むろんこれは、通りすがりに過ぎない旅行者の瞥見による偏見にすぎないのでしょうが、世界の食文化の違いには、想像以上に大きなものがあるのだろうとは思っています。





まだ半日ほどの滞在ですが、残念ながら建築文化には、イギリスの伝統を何とか持ち込んでいるという僅かな気配以外、見るべきものはない、そう断ぜざるを得ませんでした。ただ、マオリの人たちが残しているものの中には、面白そうなものがありそうです。聖地のあり方などが沖縄と似ているところがあるのではとも思います。でもあさってにはこの国を出てしまうので、そんなことがどこまで確認できるか、何とも言えませんが。