弁明と心許ない再出発

先日、金沢のマツシマ君から電話をもらった。ブログの更新がなくなってから一ヶ月にもなるのでどうしたのかと気遣ってくれてのことだった。12月6日、前回の更新からちょうど一ヶ月目の日だった。
プライヴェートな事柄で非常な難局にぶつかり、本当は9月頃からブログを続けるのもやっとというような日々であったというような事情を話した。
その事情は今も変わった訳ではなく、たまに心が晴れたりすることはあっても、元来が極めてペシミスティックな人間なので、とてもブログを更新するというような気にはなれなかった。前回のエントリーが中途半端な状態で途切れたままだったので、それだけでも何とか片付けておこうと何度か挑戦してみようとしたが、いざブログのことを考えると途端に心のシャッターが降りてしまうといったことの連続だった。
マツモトさんからふんと鼻で笑われたようなアクセス数しかないにしても、それでも毎日、いくらかの人たちは覗いてくれているようで、それが心苦しくて、自分で自分のブログを開くことさえ憚られるような始末であった。
きのうの深夜、William DeVoti という人からメールが届いた。読みながら思わず嗚咽してしまった。
昨年、ベロラードという街でフアンというスペインの料理人と出会って親しくなり、一週間あまり行動を共にしていたのだが、ある街で彼とはぐれてしまい、またひとりになって歩き始めたその翌日、あるアメリカ人夫妻ととても感動的な出会いをした。出会った瞬間から、彼はブッシュの戦争を批判し続けた。彼自身、朝鮮戦争に服役したこともある元空軍の退役軍人であったが、強固な反戦主義者だった。
なぜひとりでこんなところにきたのかといきなり尋ねられ、娘のことを話しながら言葉に詰まってしまうと、夫妻は代わるがわる私を抱擁し、お嬢さんのために私たちも祈るといってくれた。いいながら、ご主人のビルも涙を流していた。
帰国後、お互いを写した写真を交換するメールを一度だけ遣り取りしたのだが、きのうのメールはそれからほぼ一年ぶりのものであった。
そのDeVoti夫妻と出会ってから5日後、今度はレイモンドというベルギーの退役軍人とも私は出会い、夕食を共にしながら親しく会話を交わした。ビルというアメリカの元軍人とも出会ったということをレイモンドに話したかったのだが、ビルの強い反戦的姿勢をどう切り出していいのか分らず、結局触れずじまいだった。ところが、帰国後に届いたビルからのメールに、その後レイモンドというベルギー人と出会い、お前の話で盛り上がったというようなことが書かれていた。二人が親しく交歓しあったことが、私にはとても嬉しいことであった。
最初にもらったメールには、自分たちの住んでいるところはボストン交響楽団が夏の合宿をするところで、素晴らしい街だから是非来訪するようにというようなことが書かれていた。きのうのメールには、我らが誇るべきオバマ大統領の国に是非、とも書かれていた。また、いまもお嬢さんのために祈り続けているということも書き添えられていた。

ビルとドットのディヴォーティ夫妻



取り敢えず、中途半端なままになっていたホンダ・ゼミの合宿の写真をアップロードしておきます。ゼミのみなさん、すみませんでした。

最終日の朝。疲れて眠そうな学生を撮ろうとしたのではない。学生たちが制作、私が料理に専念している間、ホンダ先生はこの家のある部分を修正するのにかかりっきりであった。到着した朝の写真と較べてすぐにそれがどこか分るだろうか。





やってやったぜ!





見る角度によれば、舟をモチーフにしたといわれるインドネシアトラジャ族の集落を想わせないでもない。





セリフ入りであった。





正確に言えば、ほんの数ヶ月だが、私の方が年長だ。ホンダさんは、若い頃、鏡を見る度に、はたして自分はこのまま順調に成熟した大人の顔になれるのだろうかというのが大きな悩みであったという。実際、初対面の頃、彼はとても凛々しい紅顔の美青年であった。ところが、最近ある病院の待合いであったことを、とても嬉しそうに何度も私に話した。隣に座ったお爺さんと話していたところ、「ところで私は今年で78だが、お宅は私より年上なのか下なのかどちらなんですかいね」と尋ねられたのだという。順調すぎるにもほどがあるというものだ。
私はといえば、昨年、ハンガリー人の女性と話しながら歩いたことがある。中学生くらいの女の子のお母さんだったので、たぶん40代前半といったところだろう。だが、間違いなく彼女は私のことを自分よりも若いと考えていたようだった。その夜、彼女の家族と一緒に食事をしたとき、私の本当の年齢を告げると、彼女はしばらく唖然として口もきけないといった素振りだった。
以上は、ホンダさんにとっても私にとっても、自慢するのでも卑下するのでもない、まったくもってどうでもいい話だ。

















ビックリするほど切れのいいコピー。



今日のYoutube
Chicago    「25 or 6 to 4」



しばらくはこんな調子でいかせていただきます。