オロロン逍遙
ある日、オロロンの街を歩いていると、カフェテラスのようなところで日本人のおばさんが何人か固まって休憩していた。こんなところにも、と思いながらも、観光ですかと話しかけると、チガイマス!スケッチ旅行です!とひとりのおばさんが、いかにも観光旅行を見下したような、いきり立った答え方をした。
足を痛そうにしている私を見て、どうしたのかと訊かれ、これからスペインの西の端まで千キロほど歩いていくのだと答えると、およしなさいよ、と親切に忠告してくれた。
次の週の同じ日、また別の日本人の団体が、オロロンの街のあちこちで固まってスケッチブックを開いていた。どこかの旅行会社がこんなパッケージ・ツアーを企画しているようだった。
観光とは光を観ること。光を観ずしてどうして絵を描くことができるのだろう。
イザンベール夫妻がピレネーの岩山にハイキングに連れて行ってくれた。
これを見て真っ先に浮かんだのが、セザンヌが住んでいた村の近くにこの山があったとしても、あれほど彼はサント・ヴィクトワール山にこだわり続けただろうか、という疑問だった、と、去年の日記に書いた。同じ写真を見てやはり同じ感慨が湧いてくる。
このときに食べたフランスパンがそれまでに食べていたどんなパンよりも美味しいと感じたので、そのことをピエールに告げると、彼もそれに同意した。
赤く色づき始めた葡萄畑。この角度ではわかりにくいが、マティスの裸婦像が刈り込まれている。
オロロン近郊の牧場。日本でなら絶対に無粋なネットフェンスあたりが張られるところだが、ポプラの列が敷地の境界になっているようだった。そのために、ポプラを専門に栽培している農場があちこちにあった。
自転車で近くの村に出かけようとして、雨が降ってきた。ある村の入り口に大木があったので雨宿りしていると、目ざとく気がついた子供たちが話しかけてきた。フランス語は分らないというふりをしても、かまわず彼らは話し続けた。
こんなものを見るのは初めてだったが、おそらくフォアグラを得るための養殖場。
オロロンの街にあったレクレルクというスーパー。パソコンからワインまですべてワンフロアーに並べられていた。そのうちでも圧倒的な面積を占めているのが乳製品。このような棚(約13.5メートル)が6列あった。
これはハムやソーセージなどの豚肉加工食品の棚。この棚も何列も。カビだらけの骨董品のようなサラミソーセージだけで何十種類もあった。
このような通路がもう一つ。1ユーロ(当時は1ユーロ160円前後だった)以下のワインも。
スーパーの写真はすべて盗み撮りしたもの。途中で警備員に呼び止められた。珍しいものがいっぱい並んでいるからと答えると、笑って許してくれた。
今日のYouTube
PinkFloyd 「Fat Old Sun」(放題は「でぶでよろよろの太陽」)