徒歩5分圏その2


たぶん20年以上前になると思うが、初めてこの界隈に足を踏み入れたとき、10台ほどしか並んでいないパチンコ屋が何軒もあって、しかも客らしい人も一人もいず、こんなもので商売になるのかとビックリしたことがある。すぐにパチンコ台のショールームだと気づいたのだが、気づくまでは一瞬、不思議の国にでも入り込んだのかという、後から思えば実に貴重な経験をした。あの頃はどこもみなあけすけだったが、いまは何らかの事情があるのか、どのショールームも表からは内部の様子が伺えないようになっている。



JR関西本線(現在は大和路線という愛称が用いられているらしい)が地下化され、その地表が公園化された。だがその実態は公園という名に値しない。犬も猫も禁止(と丁寧に但し書きされた看板が立てられている)、人間(明らかに一部の人たちはその範疇から排除されている)と自転車しか利用できないよう、実に入念な配慮がなされている。その配慮の極めつけは、水飲みや手や足を洗うための水道も、もちろん便所も、一切設けられていないこと。



人の歩けるところはすべて舗装されていて、それ以外はこのような丈のある灌木類や草花類で覆い尽くされている。かの範疇に属さないと見なされた人の気配がフェンスの向こう側に。なんとウルワシイ光景。




このクソ暑いのに日影のあるベンチも一切なし。よってこんな時はまったく無人



親切なことに、球技をする住民のために、ボールが外に飛び出ないよう異様に高いフェンスで囲まれた土のグラウンドも用意されている。予算が足りなかったのか、残念なことに夜間照明までは用意されていない。よって大切な市民が暗いところでサッカーなどをして怪我をすることがないよう、夜間は厳重に施錠されるようになっている。施錠される公園!

(とはいえ、もし私が役人になっていたとして、そして釜ヶ崎から歩いて10分もかからないこの場所に公園を企画したり設計したりする立場になっていたとしら、間違いなく私も同じようなことをしていただろう。いや、私はもっとよく気がつく。もっと入念に、もっとさり気なく、ことをやり仰せていただろうという自信さえ満々にある。)



上の公園からちょっと東に入った住宅街にある鴎町公園。こちらはごく当たり前のたたずまい。濃い緑陰を作っている藤棚のベンチで一休み。人心地がつく。



こんな居心地のよい公園はそうざらにない。というより、よく知られているように、大阪の市街地にはそもそも公園というものがほとんどない。



ミナミの繁華街から離れた、いかにも場違いなところにある店。かなり評判の店らしく、中に入っても、紹介された新聞や雑誌の切り抜き、TVの映像写真などが一杯貼ってある。でも私には・・・



これも上と似たような街並みにあるのだが、こちらは文句なしに美味しい。ここで食べると、もう他にはいけなくなる。というような話しはよく聞くが、ここは掛け値なし。こんなところなのにこっそりと有名人が食べていたりする。





今日、名古屋のオヤブンが亡くなったと7時頃、ドウケヒロシから電話があった。
うそやー、という言葉しかなかった。
私には、ほとんど同年配か年下(甚だしい場合は20歳以上も離れている)の友人しかなく、数少ない年上の友人だった。
勝新太郎の演じた『悪名』の八尾の朝吉に似て、頑丈、無骨、無頼の非常に心優しい人だった。だから名古屋のオヤブン。
30年ほど前、初めてあったとき、お宅のファンですと言われてとんでもなくびっくりしたことがある。こちらこそ、あれ以来、オヤブンのファンになった。
何もかも私とは正反対にあるような人だった。だからオヤブンは私の誤謬だ、とよくからかったりしていた。
オヤブン、安らかに。


今日のYouTube
Mal Waldron 「Left Alone」
オヤブンに捧ぐ。